こんにちは洗車マニアのテールウォーカー@tailwalker020です。
【脱脂】【油脂汚れ除去】の違いって説明できますか?
油脂汚れを除去すれば自然と脱脂できるんじゃないの?
間違ってはいないけど、除去したいものに対してどうアタックするか?の違いって感じかな〜
そして言葉あそびの要素が強い。
ふ〜ん。
じゃあメンテナンスクリーナー系のケミカルで油脂汚れ除去するとキレイにはなるけど、スベスベになるじゃん?
これって脱脂ではないよね?
そうだね。厳密に言うと脱脂ではないね。
ただ脱脂効果はゼロじゃないと思っているよ。
考え方としては脱脂は【余計な油分の除去】。油脂汚れ除去は【汚れの除去】かな。
う〜ん。よく分からない。結局どうすればいいの?
個人的な見解で言うと、普段の脱脂においては【中性シャンプー】【メンテナンスクリーナー系ケミカル】があれば十分だと思ってる。
一緒に洗車における脱脂の考え方も説明していきます。
クルマのキレイに対する考え方は様々です。
私は普段のメンテナンスにおいて強力な脱脂は、非推奨派です。脱脂を強烈に行いたい人にとっては参考にならない、出来るだけ脱脂したくない人にとっては参考になると思います。
脱脂と油脂汚れ除去の違い
まず大前提として【脱脂と油脂汚れの違い】【汚れを落とすときの方法】を簡単に説明します。
【脱脂】【油脂汚れ除去】の違いを簡単に説明するとこんな感じ。
基本的な汚れの落とし方としては
- 物理的に擦って落とす(パワープレイ)
- 同じような成分を馴染ませて落とす
- 界面活性剤を使用して落とす(シャンプー洗車)
- 中和させる(アルカリ性の汚れに対して酸性のケミカルを使う)
- 溶剤系にて溶かす(シリコンオフなど)
ここまでを大前提とします。
【脱脂】は対象物を溶かすようなイメージ
私は脱脂の観点から言うと、あくまで余分な油分を除去すると言うこと。
脱脂に関しては食器洗いがイメージつきやすいかな。
水洗いだけではヌルヌルするのを洗剤やお湯を使うことで、『キュッキュ』と音が鳴るようになっていますよね。
これが脱脂だと思っています。
なので洗車の場面で言うと脱脂に当たる場面は下記になります。
水洗い
シャンプー洗車(中性)
アルカリ性クリーナーを使った洗車
シリコンオフなどの溶剤を使用する場面
クルマにおける油分って食事における油分と比べれば対して、強くないんですよね。(コーティング剤は別)
今まで通常の使用においてクルマが物理的にヌルヌルしていることってありますか?自分は『ヌルヌルしてもうダメだ!』と感じたことはありません(トラブル除く)
アルカリ性を使う場合は当然油分に対して攻撃性を持っているので、より油汚れを除去しやすい方向です。
またシリコンオフにおいては溶剤の特性をバッチリ持っているので油分をダイレクトに溶かす方向性があります(ピッチ・タールなどは溶剤を使わないと除去に時間がかかる)
ただ注意点として
アルカリ性、シリコンオフなどの溶剤は塗装に対しても攻撃性が高いので、塗装に対して白ボケやキズを誘発するリスクがあります。淡色車では気にならないかもしれませんが、濃色車では注意が必要。
【油脂汚れ】は油を馴染ませて除去するような感じ
油脂汚れイメージは油性ペンをイメージしてみてください。
油性ペンって一回書くと消せなかったりしますよね。
そうすると【削る・溶かす】なんて方法もありますが、油性ペンで同じところを書いて、すぐ擦ると消えることがあります。
インクが伸びてしまっていますが、最初に書いていたものは消えています。
これが馴染ませて除去すると言うことです。
メンテナンスクリーナーと呼ばれるケミカルはこのような作用が特徴的とも言えます。
製品で言うと、【OCメンテナンスクリーナー】【PMライト】【イメンス】【チェリーグレーズ】などが有名ですね。
脱脂と油脂汚れ除去を実際に使ってみる
まず脱脂をするなら、汚れって落ちるでしょ?って思いますよね?
大前提として、軽度の汚れならどれでも落ちますが、固着汚れになってくるほど有効的なケミカルのチョイスは変わります。
と言うことで手元にあるテストパネルで実験してみました(良い実験パネルがなかったので、良い状態の汚れを入手できたら更新します)
洗浄するパネルは樹脂ボディ。
使うクリーナーは3種類
- アルカリ系洗剤⇨塗装に対して攻撃性があるが、スピーディーに大まかな汚れを落とせるのが特徴。ホイールやタイヤ、細部洗浄などによく使われる
- シリコンオフ ⇨溶剤脱脂にて塗装をする前に確実に脱脂をおこなう。塗装に対して攻撃性があり、塗装を溶かしたり、キズを誘発するリスクあり
- メンテナンスクリーナー⇨油脂汚れを馴染ませて除去するのが特徴。塗装に対して攻撃性が低い
この3種類を使って検証していきます。
ここで注目して欲しいのが【黒い汚れ】です。
アルカリ系洗剤は一見かなり汚れが取れているように見えますが、大きな汚れをたまたま拾っただけで、それがキレイに洗浄できるように見えると思いますが、いわゆるメンテナンスクリーナーみたいな汚れは除去されていません。
塗装面にはスケールと油脂汚れが複合的な汚れになって付着しているため、このテストパネルにおいてだと【メンテナンスクリーナー】が良い結果であったと言うだけです。
分かりやすいイメージの画像だとこんな感じ(違う画像ですが似たような結果にはなります)
左から順に有効的なケミカルを使った場合
今回の例で言えば、左から【メンテナンスクリーナー】【アルカリ性シャンプー(濃度で結果が変わる場合あり)】【シリコンオフ】と言った感じかな。
【ピッチタール】に関して言えば、また全然別の結果になります。
軽度のピッチタールであれば、アルカリ性クリーナーやメンテナンスクリーナーで除去できますが、ガッツリ乾燥し、固着したピッチタールはシリコンオフやピッチタール除去剤のようなガッツリ溶剤が入っているようタイプでないと除去に恐ろしいぐらい時間がかかります。
シリコンオフなどの溶剤を使う時はどうしても塗装にダメージを入れるリスクがありますので白ボケしたり、キズが入ってしまったと感じる時がありますので基本的にはあまり推奨しません。
とは言っても、汚れをキレイにしたいと言う観点からケースバイケースですし、基本的にパネルの下部にしかつかないため白ボケしても気にならないことも多いので除去してしまっても良いとは思います。
DIYにおいては、最後にコーティング系に特化したメンテナンスクリーナーで少し磨いてあげれば十分かな。
アルカリ性洗浄剤は【タイヤ】【無塗装樹脂】【モールなどの隙間にいるこってりした汚れ】に大活躍しますよね。
タイヤとか無塗装樹脂にメンテナンスクリーナー、シリコンオフでキレイにするのは実際難しいし、場合によってはダメージを入れるリスクもあります。
油脂汚れと脱脂は場面、対象物で効果が変わるので、どれが良いとかではなく、どう使うかが大事です。
- 対象物に対してダメージを入れるリスクはあるのかを考える
- 対象物に対してどのように効果があるのかを考える
- 同じ油分を落とすようなケミカルでも効果は異なる
脱脂が効果的なのか?馴染ませて落とすのが効果的なのか?などなど色々考えながらやるのが大事
脱脂はどこまで必要?
私は脱脂に関しては基本的に洗浄に特化したメンテナンスクリーナー使用後に中性シャンプー洗車まで行えば十分だと思っています。
簡単に言うとメンテナンスクリーナーの余剰分が除去されれば問題ないと考えます。
理由として
- メンテナンスクリーナー拭き取り後にそのまま施工しても結果は大きく変わらないこと
- メンテナンスクリーナー後にシャンプーを使って洗車すれば、ほとんど余計な油分が取れていること
- それ以上の脱脂を求めると、塗装にダメージを入れるリスクがあること
使っているメンテナンスクリーナーのタイプにもよるけど、これで十分かな。
冒頭で触れた油脂汚れ除去が『一概に脱脂できていないとは言えない』の理由としては、コーティングなどの定着に関しては【油分】よりも【汚れ】を除去することの方が大事です。
当然油脂汚れを除去せずに脱脂すれば、汚れが落ちないことは普通にありますし、結果的に脱脂している意味もなくなります。
なので、メンテナンスクリーナーで【油脂汚れ=質の悪い汚れ】を除去すると悪い油は脱脂できているとも言えます。
まあ完全に言葉遊びなんですが、でもその言葉に翻弄されている人はかなり多いですね。自分も当時は翻弄されていました 笑
それでは実際に動画で私が脱脂できている状態と認識している動画をご覧ください。
内容としては撥水しているものを除去した後に余計な油分を除去した動画になっています。
あくまで参考程度にして欲しいですが、考え方は人それぞれ。私は余計な油分がなければ問題ないと思っていますが、少しでも塗装面をスッピンにしたいケースもあると思いますので考え方は人それぞれですね。
自分はあまり感じたことはありませんが、使うメンテナンスクリーナーとコート剤によっては相性が悪いと言われるものもあるようですね。
ただ下地にメンテナンスクリーナーがいることでコート剤が定着しやすくなる場合もあるので、そこはケースバイケース(別にいくらでもやり直しできるシーンなので好みにあわせて使いましょう)
成分での決めつけは不毛
それと同時にメンテナンスクリーナー系のケミカルは製品によって、洗浄作用が強いものからコーティング剤に特化しているものなど色々あります。
よくあるのが『洗浄の方に特化している〇〇を使いましたが、これにはコーティング効果はないのでしょうか?』と質問を頂きます。
結果から言えば、ある程度はあります。
逆に洗浄効果はありませんと書いているコーティングに特化した製品もありますが、汚れはある程度落ちます。
成分を入れていないのと、汚れが落ちない・コーティング剤効果があるはまた別の話です。
多少なりとも油分等があれば、ボディに定着する傾向ですし、汚れと馴染んで、ある程度は汚れを除去できます。
その特性をどっちに振っているか?でしかありません。
まあこれをどう感じるかは各々の考え方でかなり違いますね。
まとめ 除去したいものに対して使うものをチョイスしよう
基本的に脱脂はと油分汚れ除去のイメージに関しては皿洗いが一番イメージがつきやすいと思います。
脱脂というのは作業者の考え方によって全然違うので一概にこれが合っているとは言い切れないことも多いですが、私の解釈としては『余計な油分を除去する』『わざわざ塗装のダメージを入れるリスクを背負う必要はない』ということです。
せっかく仕上げたものに対して、攻撃性のあるケミカルで脱脂をおこなうのはナンセンスだと思っています。
この辺は難しく考えすぎずに【対象物から汚れを除去する】ということをメインに考えると、シンプルで分かりやすいのではないか?と私は考えます。
楽しい洗車ライフを過ごしましょう。
以上、テールウォーカー@tailwalker020でした。