今回はコーティングでよく謳われる『9Hの硬度』について紹介します。
こんにちはテールウォーカー@tailwalker020です。
コーティングの9Hって聞いたことありますか?
ガラスコーティングの硬度を説明すること時に使われることが多く、最近はスマートフォンのガラスフィルムとかにも『9H』の表記が使われたりしていますね。
この『9H』とは硬度を示す表記の一つ。
簡単に言うと『セラミックぐらい硬いガラスコーティングだからキズ入らないよ』って言うことです(ただこの説明だと誤解を生むので、あとで詳しく説明します)
よくあるのはセラミック製の被膜を作り出すことにより、キズが入りにくく、愛車の輝きを守り、キレイを維持します!
みたいな内容ですね^^;
謳い文句的には最高にカッコ良いです 笑
- セラミック被膜(なんか凄そう 笑)
- 耐薬品性能
- 紫外線から守る
- アンチグラフティ(落書きから守る)
- 飛び石から守ってくれる(凄そう)
更にライターで塗装面を叩いてキズが入らない映像を流している(見た目のインパクト半端ない 笑)
ただ何が問題かってこの性能を感じきれずに、クルマがキズだらけになることが多いこと(自身も経験あり)
このようなことは『9H』のコーティングに限らず誇大広告しているコーティング全てに置けること
今回は9Hコーティングのような、硬度を売りにしているけどどうなの?って言うのを解説していきますね。
硬度には大きく2種類ある
モース硬度が勘違いを生む原因?
モース硬度とはダイヤ、トパーズ、石などの鉱物を硬さに応じて『1~10』の基準を作り、硬度を図りたいときに各鉱物と硬さ比較をして硬度を導き出すものになります。
簡単な表ですが硬度一覧です。
レベル | モース硬度 | キズがつく目安 |
---|---|---|
1 | 滑石 | 最も柔らかい鉱物 |
2 | 石膏 | 指の爪でなんとかキズつけることができる |
3 | 方解石 | 硬貨でなんとかキズを入れることができる |
4 | プラチナ | ナイフの刃で簡単にキズを入れることができる |
5 | 黒曜石 | ナイフでなんとかキズを入れることができる |
6 | ラピスラズリ | 鋼ヤスリでキズがつく。窓ガラスより硬い |
7 | 水晶 | 鋼ヤスリでなんとかキズを入れることができる |
8 | トパーズ | 鋼ヤスリではキズがつかない |
9 | サファイア | ダイヤモンド以外の宝石にキズをつけられる |
10 | ダイヤモンド | 地球上の鉱物の中で一番硬い |
基本的なモース硬度のイメージはこんな感じ
セラミックの硬さとしては『7〜9』ぐらいと言われています。
ここで理解していて欲しいのはキズの概念がいわゆる爪が引っかかるレベルということですね。
クルマのような洗車傷のレベルではないということ。(洗車傷は浅い拭き傷の集合体)
塗装の研磨時も爪が引っかかるキズは除去できない可能性が高いです。
コーティング硬度の表記は鉛筆硬度
鉛筆硬度は『塗膜の硬さを表現するためのもの』で、JIS(国が認めた製品的な感じ)で規格化されています。
鉛筆の硬さは順に
『6B』『5B』『4B』『3B』『2B』『B』『HB』『F』『H』『2H』『3H』『4H』『5H』『6H』『7H』『8H』『9H』
意外と種類が多いですね^^;
セラミックコーティングで有名な『9H』というのは『硬さ(濃さ)9Hの鉛筆』で擦っても耐えられるということです。
鉛筆硬度で9Hの硬さはどれぐらい?
この流れで行くとモース硬度でいうと結局どのくらいの硬さなんだ?ということになりますよね?
プラチナやナイフの刃ぐらいの硬さになります。数値的には『4〜5』ぐらいかな。
ここで疑問が生まれませんか?
セラミックの硬度は『7〜9』ぐらいのモース硬度
コーティングでよくいう『9H』は鉛筆硬度でモース硬度に帰ると『5』ぐらい
セラミックはモース硬度で『9』なのに実際は『5』?
セラミックの硬さは『9H』?
結局『9H硬度』のコーティングにはキズが入る?
結果からいうと普通に入ります 笑
TWのブログでも色々書いていますが、コーティングを厚塗りして放置した場合は可能性的にあると思います。
ただコーティングは必ず拭き取りますよね?
そうなると膜というレベルでは塗装には残りません。どちらかというと塗装に残った残留成分でしかありません。
厚さを認識できないもので、塗装にキズが入るのを防げるでしょうか?
少なくとも9Hの硬度は引き出せておりません
コーティングの役割としては効果を発揮していないのでは?
9Hコーティングのデモ方法を試してみた
よくあるライターで塗装を叩くことでキズが入りませんよっていうデモンストレーションを『愛しのワックス』で同じ現象が出るか試しました^^
ってことで早速叩いてみました 笑
叩いた後がこんな感じ
マスキングの下あたりにキズがあるのが見えるでしょうか?
これを拭き上げると…
キズがありませんね^^
使ったのはワックスです。
てことはコーティングで硬度を出しているのではなく〇〇にすることでキズをつかないようにしていますよ♪(ほぼ答えを言っている 笑)
硬度テストを動画にしてみました
以前からこのような宣伝方法はありました。
インパクトは絶大ですよね 笑
ただ理屈が分かってしまうと、様々なコーティングで同じ状態を表現できます。
少なくとも共通なのはツルツルしています。
ということは〇〇な状態になっているということ。
今回の動画ではライターの金属部分で叩いています(通常はライターのプラスチック部分でやる)
『〇〇コーティングは更に物が良くなっているから、金属部分でもキズが入らないんですよ』っていう宣伝を見たので試しにやってみました(これも検証動画はワックスです)
結果は動画にあるようにキズが入っていないように見えます。
勘違いさせるような販売の仕方は好きじゃありません。
このような販売方法をするのは一時的な利益は上がるかもしれませんが、長い目で見たときにプロにとってはマイナスになるんではないでしょうか?
この宣伝方法はプロの中では古い宣伝方法だと思っています。このやり方を自信を持ってやっているのでしょうか?
まさかこれが本当に凄い効果があると思ってやっているわけではありませんよね?
そもそもこれでキズが入らないって宣伝するのは本質的におかしい。
どう考えてもキズが入るリスクが高いデモンストレーションです。
それほど優れた効果であると見せつけたいのは理解しますが、実際に洗車傷を防げないことを考えるとユーザーの為にはなりませんよね?
コーティング硬度のまとめ
- 9Hのコーティング硬度はセラミックの硬度ではない
- 同じ鉱物の硬度で例えると、プラチナぐらいの硬度
- 実際にはプラチナの硬度は出ない(普通にキズ入る)
- キズが入らない理屈はボディをツルツルにして〇〇にする
- ワックスでも同じ効果は出るし、他のコーティング剤でも表現できる
- 勘違いさせるデモンストレーション
- 残留成分程度のものに強度は出せない
9Hのコーティングは実質、洗車傷を防げません。
であれば硬度に関してはコーティングの選択肢としては外していいかな〜と個人的には思っています。
それよりも『艶』『撥水』『防汚性』などを求めた方が面白いと思いますよ
ぜひ参考にしてみてください
以上、テールウォーカー@tailwalker020でした